オーバートーン

ここではオーバートーンについて解説します。
オーバートーンとは簡単に言うと指を固定した状態で倍音列を鳴らすことです。
(倍音については後述します)

サックスは簡単に音が鳴りますが、音色を作っていくことが難しい楽器です。
音色を作るには様々な口や喉のコントロール方法を身に着ける必要があります。
”音色のコントロール”のページでも方法は解説しています。

実際にこのように楽器を扱うためには、筋トレと同じで訓練が必要であり、その訓練方法のなかで特に有効なのがオーバートーンの練習です。

◆オーバートーンの練習の効果

  • 音が太くなる
  • フラジオが出やすくなる
  • 音程が良くなる
  • 噛みすぎが改善される
  • 口内をコントロールする力がつくので、リードをプレスして無理やり音を出すことがなくなり音色が豊かになります。

    では、倍音とは何でしょうか?

    ◆倍音

    倍音とは基音に対して整数倍(2倍、3倍・・・)の周波数の音で鳴る音です。
    例として基音(第一倍音)のB♭とした場合、音程は下図のとおり、オクターブ上のB♭が第二倍音、第三倍音がF、第四倍音がB♭、第五倍音がD・・・と続いていきます。
    この先で紹介する練習もまずはB♭で行います。(慣れてきたらB、C、C#・・・と基音をあげていきます)

    倍音

    ここで和音について知っている人は気づいたかもしれませんが、B♭・D・FはB♭メジャーの和音の音に含まれます。

    倍音は整数倍の周波数であることから、お互いが響き合います。

    ◆オーバートーンの出し方

    オーバートーンの出し方は、感覚的には舌のや喉の位置を変えて音が裏返るようにします。
    歌で言うと裏声を出すような感じになります。

    各倍音の出し方について少し具体的に書いてみます。
    感覚的な記述が多くなるので、参考としてとらえてください。
    ここでは発音と口内の感覚で説明していますが、高い倍音なるつれあごの位置も徐々に前に出していくと出しやすいでしょう。
    (最終的にはあまり動かさないようにしてください)

  • 第二倍音
  • 基音を出すときより少し息を上向きにあてる感じです。トゥという発音に近い感覚です。ちなみに基音はホやトの発音のような感じで鳴っていると思います。

  • 第三倍音
  • 息のスピードを上げて、ティという発音に近い感覚で吹きます。

  • 第四倍音
  • 口内の空間を狭めていきヒという発音に近い感覚にします。

  • 第五倍音
  • イという発音に近い感覚です。息の向きも意識します。かなり出しにくくなるので噛まないように注意します。

  • 第六倍音
  • キという発音に近い感覚です。

  • 第七倍音
  • さらに舌の位置を持ち上げて行きます。発音はヒのような感じです。

  • 第八倍音
  • このあたりから発音で表現するのは難しくなりますが、息のスピードを上げるのと徐々に口内を狭くしていくというコツは同様です。

    まずは第八倍音を目標に出せるようにしましょう。
    そこまででも、なかなか難しく時間がかかりますが粘り強く練習してみてください。
    自分は毎日、10〜20分やって二ヶ月程度かかりましたが、かなり音色が改善されました!
    注意点は力まないで、小さめの音量で、チューナーで音程を確認しつつ口を締めないことを意識することです。
    無理矢理に倍音を出し続けると悪いクセがつきますので、気にしてください。
    最初のうちは倍音を出す感覚をつかむため極端に口内の状態を変化させたり、顎を前に出していくようにして、どうすれば音が変わるか確かめるのも良いと思います。

    ◆練習方法

    ここまで出すだけでもかなり大変で、喉は鍛えられていると思いますがオーバートーンの練習を紹介します。

    1.基音から順次鳴らしていく
     図にある譜面通りに基音から順番に高い倍音を鳴らします。基音は舌でタンギングしますが、他はタンギングしません。(息をコントロールして音は切ります)
     自分の出せる一番高いところまでいったら、そのあとはまた下げていき、基音に戻ります。ここでも基音はタンギングします。
    2.第二倍音を出しながら指をB♭から半音ずつあげていく
     上の倍音がまだ出づらい時期にこの練習をつづけると喉を鍛えられ、徐々に高い音がでるようになってきます。
    3.跳躍練習
     基音→第一倍音、基音→第二倍音、基音→第三倍音・・・と基音から間の倍音を飛ばして目標の倍音を出す練習です。
    4.実音と合わせる
     オーバートーンの音と、実際の運指で音を出すこと(実音を出すこと)を繰り返して、実音をオーバートーンに近づけていきます。音色も音程も同じになるようにします。

    オーバートーンは始めたばかりのときは出すこと自体が大変で、紹介した練習も慣れるまでは難しいです。
    しかし、サックスを吹くうえで重要な力が身につくのでぜひ取り組んでみてください。
    毎回の練習の音出しだけでも良いのですが、ある程度できるようになるまでは集中してやる方が早くできるようになると思います。


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