温度の影響によるサックスの音程の変化について

サックスを演奏していると、冬になり気温が下がると、音程が上がりきらない、合わないという話しをよく聞きます。
実際、どの程度変化があるのか理科的に確認してみましょう。

音の特性のおさらい

音程の変化を確認するために、理科で習った音の性質をおさらいしたいと思います。

周波数をf[Hz]、波長をλ[m]、音速をv[m/s]としたとき周波数は
f=λ/v
で表されます。

空気中を伝わる音速は、温度をt[℃]としたときに、
v=331.5+0.6×t[m/s]
の式となります。

実際に計算してみた結果

気温が20度ときにAの音を442Hzでチューニングした場合、波長は変わらないで10度になった場合、およそ434Hzまで下がります。
半音下のA♭が417Hz程度なのでそこまでは下がらないのですが、チューナーに表示されるcentに換算すると概算で31centほどずれてしまいました。

ところでcentとは何かと改めて調べると、簡単に言うと次のような定義です。
「半音を100分割した単位のこと」
cmのセンチは100分の1メートルなので、同じ意味ですね。基準がメートルでなく半音となっているわけです。

さて、引き続いて計算をしていきます。

今度は1オクターブ上げるとAは884Hzです。
これを10度にすると、869Hzとなります。29cent程度のずれです。

では、1オクターブ下げてみるとどうでしょう。
Aは221Hzになり、10度低いと217で、約32cent低い音程になります。

わかったこと

音域によって若干ずれの幅が異なりますが20℃の気温から10℃まで落ちると30cent前後のずれとなりました。
割りと一定ですね。
というか、そうでなければ最初のチューニングが意味を持たないですね。

ちなみに、1centは何Hzで表せません。変換方法はcent値 = 12log2(周波数比) × 100と対数となります。
この説明をするには平均律の説明が必要なのですが、それはまた別の機会にしたいと思います。


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