サックスの音程は指だけで決まるものではなく、喉や口の状態を変化させて微妙に変化させられます。
このことを利用して演奏のニュアンスをつける方法がいろいろありますが、その基本的なものがベンドです。
ベンドの種類
ベンドとは曲げるという意味の”bend”ですが、音程を滑らかに変化させていくことからこの奏法をさします。
ベンドには
- ベンドアップ
- ベンドダウン
の二種類があります。
ベンドアップを利用すると歌でいうと「しゃくりあげる」、ギターでいうと「チョーキング」と同じようなことが表現できます。もとの音程から上げていく奏法です。
サックスではもとの音から上げるより、低い音程からはじめてもとの音程に戻すようなニュアンスで吹くことが多いです。
一方、ベンドダウンはもとの音程から下げていきます。
ベンドの練習方法
音程のコントロールは喉や顎で行います。
ここで注意しなければいけないのはアンブシュアは絶対に崩さないということです。音色が変わってしまいますし、下手をするとなんでもベンドするクセがついてしまうことがあります。いわゆる「しゃくりぐせ」です。
アンブシュアは保ったままで、もとの音から下げて戻す練習を行います。図は一例ですがいろいろな音で練習しましょう。
変化させられる範囲は音域によって異なりますが、オクターブキーを押したBで1音半(A♭)くらいまで下げられます。
概ね高い音域のほうが変化の幅は広くなります。
音程を下げた状態から狙った音程にする練習もよいでしょう。
ベンドの応用
ベンドをしながら指を動かして行くと、より幅の広い変化をさせることができます。
単に指を動かすだけでは音は滑らかにつながらないので、ベンドをすることで間をつなぐようなイメージです。
ビッグバンドでよく用いられている表現で”フォール”がありますが、これはベンドと指での操作を組み合わせて行います。
フォールのように長い時間をかけて滑らかに音をつなぐのは指だけでは困難ですのでこの奏法が利用されます。